新人・指導者育成

介護職員の離職率は14.9%(R2年度)でここ数年低下傾向ですが、その内訳をみると勤続1年未満が約半分、1~3年未満が残り半分を占めており、いわゆる「早期離職」の割合が多いことが課題となっています。
これを防ぐには、新人の3つの不安(業務・職員との関係・利用者との関係)の軽減を図り、組織の方針や考え方を理解してもらうような中長期的なフォローが必要です。
下記2つのプログラムは、1on1面談と新人へのOJTを通じて、新人の定着と指導者の負担軽減、受け入れチームのメンバーへの働きかけを促します。

■新人職員育成100日プログラム
■指導者育成プログラム
新人職員の不安解消しながら、新人・指導者・チームがともに成長できるように開発されたプログラム

  • 新人職員の不安が軽減され、早期離職防止に繋がる
  • 第三者からの承認・励ましにより、新人職員のモチベーションがアップする
  • 新人職員のわからないところが明確化され、自信を持って一貫性のある指導ができる
  • 新人と指導者がコミュニケーションをとり、信頼関係を築きながら関わっていける
  • チーム全体で新人職員と関わっていくことができる

新人職員育成100日プログラム

ピーエムシーが考える新人職員育成の現状・課題と解決策

現状と課題

新人職員の受け入れに負担感があり、育成が難しい

  • 介護未経験の新人職員にうまく教えられない
  • 指導担当者(指導者)になったが、仕事の教え方がわからない
  • 新人職員の指導が担当者任せになってしまい、チームで関われない
  • 新人職員の早期離職が多い

原因

指導者が新人育成を学んでいない

  • 指導者は自己理解と他者理解が出来ていない
  • OJTとOFF-JTの理論や方法を学んでいない

チーム育成が出来ていない

  • チームリーダーが新人職員育成に関われていない
  • チームメンバーが新人職員に関われていない

ピーエムシーが
考える解決策

① 新人職員および指導者が自己理解と他者理解を深める
② 指導者がOJTとOFF-JTの理論や方法を学ぶ
③ チームリーダーやメンバーに新人職員への関わり方を伝え、お願いする

効果

新人職員の育成を通して、新人・指導者・チームが成長できる職場

  • ① 介護未経験の新人職員にも、分かりやすく指導育成することができる
  • ② チームのメンバー全員が一貫性を持って新人職員に関わることができる
  • ③ 新人職員の早期離職を減らすことができる

開発の経緯

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介護現場では慢性的な人手不足が続いているため、多様な人材を受け入れ、育成することが喫緊の課題です。
しかし、多くの介護職員が「仕事の教え方」を学んでいないことや、「受入チーム全体で新人に関わることが出来ていない」ことが原因で、新人は介護職として必要な知識や技術、考え方を学ぶことが出来ていません。
また、介護現場の悩みの多くには、新人を指導する指導者の力量不足があります。
「新人の不安や悩み」「できることとできないこと」「わかっていることとわかないこと」がはっきりしていないことも課題であり、指導者のコミュニケーション力不足も大きな課題の一つとなっています。
そこでピーエムシーでは、これらの課題を解決するために「新人職員育成100日プログラム」を開発しました。
また、新人を育てる指導者に対するサポートが必要なことから「指導者育成プログラム」を開始し、この2つのプログラムを同時進行で走らせています。
プログラムの進行に伴い、新人と面談し、見えてきた新人の課題を、上司と相談しながらチームの協力を得た育成指導は、指導者の成長を促し、人材育成の土台を作っていきます。

プログラムの概要

目的
  • 新人の不安を軽減し、独り立ちで業務に入れるように支援する
  • 新人育成を通して、新人・指導者・リーダー・チームが成長する
目標
  • 指導者及び第三者との面談を通して新人の課題を言語化し、不安を軽減させる
  • 指導者やチームメンバーの関わりを通して介護の専門性と職場の業務内容を理解する
  • 多様な新人がチームの一員として共通認識を持てるよう、基本的介護用語を学ぶ
方法

新人指導に必要な要素がパッケージ化された新人職員育成100日プログラム(以下100日プログラム)を活用し、「新人」「指導者」「運用責任者」の3名を1チームとして100日間実施
対象者は、「新人」 :知識・経験の比較的浅い職員
「指導者」 :リーダーもしくは今後リーダーとして成長してほしい職員
「運用責任者」:部署の主任・管理者等チーム全体をフォロー、進行管理ができる職員

約10日ごとにテストやチェックシートを実施し、データ化した報告書を基に育成・指導に活用し、新人職員・指導者・運用責任者で約100日間コミュケーションをしっかりとりながら取り組んでいきます。
新人職員の不安・不満を見出し、新人の独り立ちまでの育成をサポートし、指導者も一緒に成長するプログラムとなっています。

チーム育成相関図

新人にチームメンバー全員が関われるようにこの相関図を使って面談しています。

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プログラムの特徴

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面談調査

100日プログラムの最大の特徴は、新人・指導者・運用責任者に面談を行なう、第三者からの面談調査が2回組み込まれていることです。第三者からの承認・励ましによりモチベーションがアップします。

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課題の明確化

テストやチェック&ヒアリングから、新人が何がわからないのか,何ができないのか課題が「見える化」し明確になります。課題が明確になることで、新人は何をすればいいのか、指導者はどう指導すればいいのかがわかり均一に指導することができます。

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コミュニケーション

新人・指導者が一緒になって課題を確認しながら話をする機会である「チェック&ヒアリング」により、新人の不安を解消しながら、お互いの信頼関係を深めることができます。

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介護用語学習

新人と指導者には、付属の「介護用語テキストDVD」で介護用語を自主学習していただくことで、介護用語の共通理解が図れ、情報の共有化をはかります。新人だけでなく指導者も「介護用語の重要性」を認識し学習することで正しい介護用語を新人に指導することができます。

流れ・スケジュール

基本的な流れ

基本的な流れ

スケジュール

約10日ごとにテストやチェック&ヒアリングを実施し、新人の成長を理解するための報告書を発行します。

スケジュール

プログラム実施の100日間での所要時間は、
新人 :6時間
指導者 :5時間30分
運用責任者:1時間25分

50日目と90日目の面談は、オンラインで実施できます。
全国での対応が可能です!

チェック&ヒアリング

新人と指導者が二人で新人の「知識」「技術」「メンタル」を確認し、課題を明確にする

【10日目・40日目・70日目】 の 概要

対象者 新人・指導者 必ず二人で行います。シフトの都合でペアの指導者と行えない場合は、運用責任者やメンターが行います。
目安時間 1回60分×3 約60分、新人と指導者がじっくり話のできる時間を与えていただくことをお勧めしています。
実施形態 チェック&
ヒアリング
新人と指導者が1対1で、「知識」「技術」の確認と、メンタルを含めた現状のヒアリングを行ないます。(報告書の「知識」「技術」がグラフで反映)
実施形態
  • 新人と指導者が二人でチェック&ヒアリングが行なえるようシフトを調整します。
  • 指導者がチェック&ヒアリングシートを用いて、新人にどれくらい「わかっているか」「できているか」を質問して記入していきます。
  • 各ページの下にある【新人に質問してください】を指導者が新人に質問して、ヒアリングを行な います。

報告書

  • テスト・チェック&ヒアリング実施後、毎回メールで送られます。
  • 新人の性格傾向・現在のメンタル状態がわかります。新人の性格傾向を知ることで、伸ばすべきところ、注意すべきところがわかるので、指導をしていくうえでの参考にしていきます。
  • 「知識・技術」は、新人としてのレベルを表示しています。
    ※「知識・技術」は一般的な新人のレベルで評価しています。事業種類によって合格レベルは違ってきます。
  • 介護用語理解度を表示しています。低い場合、学習を促します。

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スキルマトリックス診断

指導者の「知識」「技術」「モチベーション」や「職場のコミュニケーションの状況」を自己評価の中から診断し、課題や目標を効果的に見つけることができる

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新人・指導者及びチームの成長について、新人・指導者・運用責任者の各視点からの評価が【チーム育成相関図】からわかる

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効果・評価

自信につながった

新人の声

自分が今、どこまで出来ていて、今後の課題は何であるのかが一定期間ごとにはっきりとわかったため、出来ている部分には自信を持つことができました。指導者の方と一緒に進行度を確認できたので安心して次の段階へ進むことができました。

特別養護老人ホーム・福祉系専門学校卒・21歳

ステップアップの手助けになった

新人の声

テストや面談を実施することで自分に必要な知識や技術が具体的に分かり、ステップアップの助けになった。
プログラムの実施間隔(10日間)もちょうど良かった。
チェックシートやヒアリングなど充実した内容のプログラムだったと思う。

特別養護老人ホーム・高等学校卒・19歳

自分自身の学びになった

指導者の声

新人さんと一緒に行動することで、初心に戻って見直すことができました。
まだまだですが、自分も勉強でき 100日プログラムのスケジュールがあったおかげで、順をおって一緒に覚え、 行動することができ、とても 良かったと思います。

特別養護老人ホーム・介護経験6年1ヶ月・26歳

チームの変化を感じた

運用責任者の声

プログラムを導入して変わったことは、まず、指導者一人でなくチーム全体で新人を指導している体制ができたことです。
そして、新人も、個人差はあるけれど、積極的に学ぶ姿勢が出来ていること等が顕著に現れていると感じました。今後は、更なるチームケアの向上を目指すためにも、チーム全体で100日プログラムに取り組んでいきたいと思っています。

特別養護老人ホーム・高等学校卒・19歳

実績・価格

新人職員育成プログラムは、延べ400施設、新人・指導者900組(1800人)に対して実施(2014年~2020年11月現在)

申し込みセット数 単価
1 100,000円
2 90,000円
3 80,000円
4 75,000円
5 70,000円
6 60,000円
  • ※同日・同施設・連続実施の場合に左記割引適用
  • ※訪問しての面談調査の場合は別途交通費請求
  • ※1セットは、新人と指導者の2名分
  • ※7セット以上のお申し込みはご相談ください。

100日プログラムの期待と効果

特別養護老人ホーム 悠久の里

特別養護老人ホーム 悠久の里は、プログラム開発段階の2011年より多くの新人職員の方々から100日プログラムを取組んでいただいています。
ご利用者様が安心して楽しいひと時を送れるよう努めることを信条とし、高品質なサービスを提供するために職員教育にも力を入れている法人です。
100日プログラム実施者の退職者も少ないとの報告を受けています。
以下、関原礼敏施設長からのコメントです。

①新人の成長

介護業界の新採用職員の指導はOJTが中心となっているため、ツールの有無にかかわらずある程度の期間を就業することで新人は成長していきます。恐らく、介護業界の現状としては「ひとまず夜勤ができる」といったゴール(=成長)が設けられるため、施設にとってゴールできるか(させるか)どうかがポイントとなり、ツールを使ってゴールするまでの過程が良くなるかはそこまで重視されていないように思われます(重視されない理由は各施設で様々)。
当施設では、まずは新人の成長に期待し、ピーエムシーの100日プログラムを活用し新人職員の育成に取り組んでいます。
当施設の場合、短期的な目標として上記の「ゴール」も意識しますが、新人の成長という視点から見たときの100日プログラムによる狙いは「用語の習熟度」と「メンタルテスト」になります。
一般的には資格を取得することが業務に対する知識の担保になりますが、特に未経験の介護職員は「知識の習熟度」が低く、資格が担保になっていない状況が散見されます。そのため100日プログラムによって再学習(または習熟度の確認)を行います。
効果としては、残念ながら「知識の習熟度の向上」は一時的なものと考えております。また、早期離職とならないようメンタル面のサポートを行う必要があると考えています。幸いにして当施設は比較的優しい職員が多く、過度な緊張を与えることは少ないと思っていますが、事故が発生するケース(他の職員の悪口を聞いた、欠勤などによる関係悪化)もあるため職員のメンタル状況の確認は都度必要なため、ピーエムシーのメンタルテストは有効となっています。

②新人の成長度合いの見える化

100日プログラムの報告書は新人の成長度合い・メンタル面・性格が見える化され「新人・指導者・責任者・他職員」と容易に共有化できます。そのため全体の指導方針と乖離していている場合やプリセプターとの相性が悪いと思われる場合は面談などを通して軌道修正しており、それらを判断するための指標として効果を発揮しています。
また、どのような指導がどのような結果をもたらしたか推測することができ、長期的な指導戦略を立てる上でも重要な指標としています。当施設は「臨機応変に判断し行動できる人」を長期的な指導戦略としていますが、臨機応変に判断するためにはベースとなる知識・技術が不可欠です。そこで100日プログラムを継続して使用することで、ベースの「標準化」を目指しています。

③指導者の成長

100日プログラム実施における一番の効果は指導者の成長と考えており、具体的には次の3点によって成長していると感じています。
一つ目は、指導のベースとなる「知識」です。新人の時には向上しなかった「知識」も指導という重圧によって自主的な学習(振り返り)を行うため、ほとんどの指導経験者は知識の習熟度が向上します。・・・個人的には用語テストの範囲を広げても良いと思います(指導者のみ)。
 次に「指導方法」です。一つ一つ業務や手技を指導することも大変ですが、コミュニケーションの取り方が分からないと訴える職員や、(特に業務外の)コミュニケーションの重要性を理解していない職員が多く、職員は指導者になることを敬遠しがちです。100日プログラムの場合、面談での質問や指導するべき業務の項目もリスト化(リスト化は新人も分かりやすい。)されているため「そもそも何をどう教えたらよいか分からない」といった指導に対する不安を取り除く効果があり、指導未経験者のハードルが下がることで新たな指導者を育成しやすく、かつ指導の質もバラつきが少なくなります。
 三つ目に「第三者の面談」です。同僚や上司では言いにくいことも第三者から言われることで比較的素直に受け取る傾向があり、職員によっては、その後の職員面談や年間目標で課題として掲げる職員も多く「自己覚知」による成長に繋がっていると感じています。

④求人効果

社会経験が乏しい高校生自身にはあまり効果がありませんが、高校の進路担当や専門学生には「丁寧に指導してくれる施設」として認識されやすいと感じています。
とは言え100日プログラムを実施していればよいわけではなく「新人指導」に対する施設の姿勢も問われるとは思います。
そういった意味では10日毎のプログラム実施が負担と感じるところがあるとすれば、そこは「新人指導」を軽視しているのではと感じてしまいます。

⑤その他

費用対効果について、個人的には1組10万円は安くはありませんが高いとも思いません。
新潟県の社会福祉法人はオーナー法人が少ないことや公益法人特有の予算主義を背景に10万円という不意の支出は難しいのかもしれません。また、外部研修も無料または低額が多く、新人育成も過去にコストを掛けず行ってきた経験則から出し渋っているのかもしれません。いずれにせよ推測の域をでませんが、定期的に使用している私としては非常に満足している商品です。
今後ともよろしくお願いいたします。

特別養護老人ホーム シンパシー

特別養護老人ホーム シンパシーからは、開発当初から継続して100日プログラムを実施していただいています。
その他「チームマネジメント研修」「他各種研修」「各種診断」等、ピーエムシーの様々な商材を活用しながら、自職員のことを第一に考えた人材育成に取り組まれている施設です。
以下、小野知男常務理事からのコメントです。

振り返ってみると100日プログラムに関しては開発段階から協力し、開発の期間も含めると実質的に平成27年度より取り入れてまいりました。当初は戸惑いもあり本当に効果が出るのか疑問でした。しかしながら、新人が入職し、介護業界の右も左もわからない状態で業務を行っていくことに当時非常に不安が多くあり、周りの職員も指導方法がままならない状況の中で、100日プログラムのお話を聞き、魅力を感じ取り入れることを決めました。
当初は新人と指導者のコミニケーションがうまくいかず悩みも多くありしたが、100日プログラム導入後から現在を比較すると格段の違いが出てきていると感じています。
まず、指導者一人でなくチーム全体で新人を指導している体制ができたこと。
そして、新人も(個人差はあるが)積極的に学ぶ姿勢が出来ていること。等が顕著に現れていると感じています。
今後は、更なるチームケアを目指すためにもチーム全体で100日プログラムに取り組みたいと思っています。

新人職員育成100日プログラムと平行して、法人内各チームの「指導者」を対象として行う「指導者育成プログラム」を実施すると一層効果敵です。

指導者育成プログラムはこちら

指導者育成プログラム

プログラムの概要

目的
  • 新人に対し基本的介護技術や業務の遂行方法を指導し、精神面の支援をする
  • 効果的な新人育成のためにリーダーやチームのメンバーと連携し、チーム全体で新人育成を行う
目標
  • 指導者が自己理解・他社理解を深め、多様な新人やチームのメンバーと信頼関係を構築する
  • 具体的な指導方法を学び、評価し、改善する
  • チームリーダーやメンバーに新人職員への関わり方を伝え、共に実践する
方法 新人教員育成100日プログラムの「指導者」を対象として行う、100日プログラムと効果的に組み合わせた集合研修

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カリキュラム

3.5時間/回×3回

テーマ 実施内容
事前
課題
スキルマトリックス診断
(100日プログラムで実施)
  • パーソナリティ、対人ストレス(自己理解と他者理解)
  • 「指導者の介護観」について簡単に書き出してくる
1 指導の目的・内容・方法を理解し、
新人指導を開始する
  • 100日プログラムの概要の把握
  • 指導スケジュールの理解
  • 100日プログラムの報告書を読み解く(エゴグラム・エニアグラム・自己開示・メンタル)
  • 事前課題を読み解く ・育成に関する理論を学ぶ(SL理論・スーパービジョン)
  • チーム育成相関図の説明とお願い
  • 面談の進め方を学ぶ(オープンクエスチョン)
  • 課題(プロセスレコードを書いてくる)
2
  • 指導の状況を客観的に把握する
  • 他者理解を深め、新人をもう一歩成長させる
  • 100日プログラムの報告書を読み解く
  • 面談が終わっていれば、振り返りを行う
  • プロセスレコードを輪読し、新人への理解を深める
  • SL理論を踏まえて現在の新人への関わり方を検討する
  • チーム育成の状況の確認とお願い
  • 100日プログラム終了までの目標と達成方法を各指導者が考える
    (新人に対する具体的な支援を計画し、資料をつくる)
3
  • 新人への指導を振り返り、実践を評価する
  • 残された課題を明確化し、新人と共有する
  • 指導者の学びをチームにフィードバックする
  • 報告書を読み解く
  • 前回立案した目標と達成方法について評価する
  • チーム育成の評価を行う(新人のために行った支援について資料を提示し説明)
  • 指導の工夫について実践を共有する
  • 残された課題について、報告書を参考に言語化する

指導者育成プログラムで指導者が学ぶこと

SL理論(状況対応型リーダーシップ)Situational Leadership の概要

SL理論とは、新人(部下)の成熟度を4段階(S1~S4)に区分し、それぞれに有効なリーダーシップのスタイルを示したものです。

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なぜSL理論が必要なのか

新人(部下)教育でよく聞かれる課題は「新人(部下)が独り立ち以降も不安が多い、指示がないと動けない」というものです。
実は独り立ちの段階では、新人(部下)教育は半分しか終わっておらず、独り立ち以降も新人(部下)を成長させるための関わりが必要です。
独り立ち以降の新人(部下)教育のあり方については、SL理論が参考になります。
SL理論は、新人(部下)の成長には4つの段階があると捉え、上司はそれぞれの段階で新人に対する関わり方を変えながら成長させようという考え方です。独り立ち以降の新人(部下)教育では、「教える」「説明する」から「考えさせる」「気づかせる」関わりへとシフトしていくことが必要であり、指導者がこれを理解し実践しなければなりません。

新人の成長・成熟度 指導者の行動
S1 指示型(教示型) 「教える」個々の業務手順を具体的に説明する
S2 コーチ型(指導型) 「考えさせる」覚えたか、出来ているかを確認する
S3 援助型(支持型) 「気づかせる」目的や根拠について考え気づかせる
S4 委任型 「任せる」できていることを任せ、自信を持たせる

プロセスレコードの概要

プロセスレコードとは、介護現場における対人関係、特に介護職員と利用者の間の相互作用に関する文章による記録のことです。
(元々は看護師の患者との人間関係の向上として使用されはじめたものです)
介護職員が利用者の(対人相互作用による)行動を、知覚分析し、それにもとづいて、介護職員がどのように行動をおこなったかを、出来事の後で、内省的な観察を加えて記述していきます。

なぜプロセスレコードが必要なのか

新人育成において大事なことは、新人と指導者が信頼関係を構築すること、そして新人の状況に応じて関わり方を変えることです。
これらがどの程度出来ているのか、指導者のコミュニケーションスキルを鍛え、自己覚知と他者理解を深めるために、指導者研修ではプロセスレコードを使います。
新人との関わりを振り返ることで、指導者が自分のコミュニケーションの癖や新人の感情に気づき、より良い関係づくりに役立てることができるようになります。

スケジュール

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効果・評価

学びの姿勢がもてた

仕事するにあたり、新人が原理原則を踏まえた上で行うことで、根拠をもって利用者に関われると感じました。
私自身も、改めて学びの姿勢をもち、仕事をしていきたいと振り返ることができました。

特別養護老人ホーム・29歳

色々意見が聞けてよかった

介護の原理原則について考え直す機会ができた。
シートを活用し、新人と話す機会を作っていきたい。
また独り立ち後の関わり方が難しいと思っており、色々意見を聞くことができた。

特別養護老人ホーム・26歳

共感と安心感がもてた

現場で介護をしている中で大切にしなければと再確認の場となり、とても良い時間でした。
また、同グループの指導者の方々と話す中で、意見交換や情報の共有、共感と安心感など得られる時間でした。

デイサービス・33歳

指導者育成プログラムの期待と効果

社会福祉法人 五彩会

福島県いわき市の「社会福祉法人 五彩会」とは、長年に渡り、研修・新人育成プログラム等で介護職員の育成を一緒に取り組ませていただいております。
毎年定期的に「新人職員育成100日プログラム」「100日プログラム指導者研修」等を実施し、法人全体で職員の育成を前向きに取り組み、法人全体で楽しみながらおこなっていて、それが「辞めない職員」へと繋がっているのだと感じさせてくれる法人です。

2020年度は、世の中の状況からオンラインでの研修・訪問調査で実施しています。
職場のオンライン等の環境づくりに関してもとても前向きに取り組んでいただき、ピーエムシーとしても大変ありがたく、順応な対応にとても助かっています。
今回は、初回の「100日プログラム指導者研修」の前に岩谷郁子常務が受講生の皆さんにお話した内容をご紹介いたします。

社会福祉法人 五彩会 「100日プログラム指導者研修」 岩谷常務より受講生へコメント

今日はブラザーシスターの制度と役割を学ぶ研修になります。
今年の選抜されたメンバーもまた素晴らしいですね。
前に何度か経験したことがある方も何人かいらっしゃるかと思いますし、全く今回初めて、初参加の方も何人もいらっしゃいます。
今日学ばせていただく、「人を育てる仕組み」それを学ぶんですが、この育てる仕組みというのが、実はしっかりと実践していくと自分を育てることに直結してきます。これをやってみた人だけが確信として手応えとしてつかめます。
そのためには後から学ぶ、チーム相関図というのをしっかりとマスターして実践していく必要があるんですね。
表面だけ理解して自己流に実践していってしまうと、実は自分も育つというところまで到達できないんですよ。
ですから最初は「えーちょっとこんなにいろんな人と横の連絡を取ったり、縦の連絡を取ったらしなければいけないの?」という風にちょっと面倒だなと思う人も、思う時も出てくるかもしれませんが、実はそのことが自分以外の人とどう情報共有し、協力し合うかという、実はご自分がリーダーになっていく素質を学ぶチャンスなんですね。
今までは自分に与えられた仕事をきっちりとしていればそこで役割は全うしていた、また自分も満足感が得られたんです。
でも、今度人を育てるポジションに、人を育てる役割になった時には、自分一人では実は育てられないんですね。
周りの人たちの理解と協力をどう自分が得られるか、なんですよ。
理解をしていただく事、それから協力をしていただく事、でもそのためには自分も他の人を理解し、自分がやれることを手助けしていく自分を作っていかないと、上手くつながらないし、一瞬そういうことができたとしても継続していかないんですね。
継続をしていかないと、形にはなってきません。
誰でも花火と一緒で、一発花火上げる事は実は誰でもできるんです。
割合たやすい、ちょっと才能があれば、ぽんぽんぽんぽんぽんと目立つところで花火を上げる事は、実はほとんどの人がやりやすい事なんです。でもその上げる花火を継続的に、永続的に作り続ける人というのは、実はここが要なんです。
いつも同じパターンで作っていたら、変化は起きませんので、A と B と違う異質な物が合わさった時に新たな化学反応が起きるわけです。これが実は素晴らしんですよ。
ですから、人によってはぶつかる事を避ける人がいるんです。
これは喧嘩をしなさいと言うことではなくて、ご自分の考えややっている事も理解をしていただくために、提示していく事、これが大事なんです。それに対して違う意見、それからこうじゃないの?言われることが出てきます。
その時に一緒に考えて、そうかなと、双方で一緒に考えていく、これをやり続けていくと新しい化学変化が起きてくるんです。
ところが自分が正しい、私は習った事やっているんだから間違いない、という所で理解を求めることもなく、自分の考えだけでやり続けていくと、実は新たな変化が生まれないので、枯渇していっちゃう、形骸化していっちゃう、時代遅れになっていっちゃう、という事に繋がっていきます。
ですから今日はすごく大事な事を学びます。
学んだら、必ず一つずつ実行していかなければ役に立ちません。
自転車に初乗りした時と一緒です。
頭で一生懸命自転車を乗る練習をしても実は乗れません。
ですから学んだからには是非自転車に乗って、走ってみてください。
そうするとご自分の手応えを感じ、それが全て自分の力になってきますので。
育てる人が育ってくる仕組みが、実はこのブラシスの制度です。
素晴らしい皆さんになっていただく事を期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です、ありがとうございます。

実績

新人職員育成プログラムは、72施設の職員に対し、集合研修として20グループ(125人)に実施
(2019年4月~2020年11月現在)