研修担当者のブログ

2021.02.7

人間関係とコミュニケーション

他人の靴を履く

NHK の「SWITCHインタビュー」ブレイディみかこ×鴻上尚史、放送からかなり経ってようやく観ました。
著書「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で、多様性世界に暮らす親子を描いたブレイディみかこさんと教育・育児にも鋭い論を放つ鴻上尚史さんのガチ対話でした。

刺さる場面や言葉が本当に沢山あったんですが、そのひとつが「シンパシー」と「エンパシー」の違い。「シンパシー」は、同情や共感。「エンパシー」は自分と違う価値観や理念を持っている人が何を考えるのか「想像する力」のことだそうです(https://www.workport.co.jp/plus/articles/5544)。

自分の価値観に近い人には共感できるけど、相容れない人に対しては共感は難しい。
介護の現場で、職員間で良く起こる「コンフリクト(対立・軋轢)」も、ほんとにこれです。
「なんであの人は、○○なんだろうね~」っていうやつです。
リーダー研修でも毎回のように出てくる「あるある」です。
自分とあまりに価値観・介護観・仕事観が違いすぎて受け入れられないのです。

多様な職員さんの中には、本当に価値観・介護観・仕事観が違いすぎて本当に介護職として向いていない方もいますが、多くの場合は「エンパシー」でもっとうまくやっていけるのではないか、と思います。
受け入れられなくても、受け止めることはできるんじゃないかなと。
みかこさんも「コミュニケーション能力とは、色々な考えの人達と何とかおりあいをつけること」だとおっしゃっていて、おりあいをつけることを「他人の靴を履いて歩いてみる」というたとえをつかって説明されていました。

多様性社会であるイギリスの小学校・中学校教育では「演劇教育」というものが行われているそうです。はじめは、教室の壁に貼ってある「笑ってる顔」「泣いてる顔」「怒ってる顔」のイラストを見て、みんなで「笑ってる顔をしてみよう!」という練習から始まるそうです。
演劇教育の目的は、役者を育てるためではなく、「自分の意見や考えを言えるようになる」ことだそうです。そして、自分の意見や考えが言えるようになると「他人のことが分かるようになる」のだそうです。

へーっ!!て思いました。

日本でもやればいいのに!と思いましたが、残念ながら日本では演劇の価値自体がまだまだ認められておらず、また演劇教育の指導の難しさもあって、演劇教育はほとんど行われていないそうです。

福祉介護の世界では、養成課程での演習にロールプレイが入っていたり、介護現場では高口光子先生が面白い取り組みをされています(https://www.youtube.com/watch?v=qMz3mjCUv2k)。
自分の研修ではあまりロールプレイはやったことがないのですが、以前、森田雄三さん※のワークショップに一度だけ参加したことがあり、ものすごい衝撃を受けたことを思い出しました。(https://core.ac.uk/download/pdf/59291147.pd)。

介護現場での多様性理解をすすめるために、何か演劇教育のエッセンス入れるのは楽しそうだなと思いました。
書いていて気づきましたが、自分で全部やらずに演劇の方と一緒にやればいいんですね、きっと。
リモートでは難しいかもしれませんが、来年度当たりちょっと構想してみたいと思います。

※森田雄三さんは2018年10月29日にお亡くなりになっています。