研修担当者のブログ
2023.01.24
他職種連携は何故難しいか
2022年11月にこのブログで「介護職の専門性って何だろう」ということを書きました。今回は、その続きになります。
介護職がご利用者の対応で困ったとき、機能訓練指導員(リハビリ職)や看護師に質問したりアドバイスを求めることが良くあると思います。
そのとき、OT、PT、NSなどの専門職は、自分の持っている知識や経験をフル動員させて、その時の最適解を導き出して、介護職にアドバイスをしていると思います。
私が介護現場で働いていた時は、そのあたりが良く分かっておらず
「内服薬の事は看護師さんに聞けばいいから知らなくても大丈夫だな」とか、
「ご利用者の〇〇さんが立てなくなってきたからリハの職員さんに訓練してもらおう」などと、その場しのぎのような適当な考えで仕事をしていたと思います。
今になって思うのは、そのときのOT、PT、NSのような専門職の方々が、色んな介護職から同じようなことを何度も聞かれて、しかもそれが初歩的で表面的なことばっかりだったとしたら「いい加減に覚えてくれないかなあ」とか「そうじゃないんだけどなあ」などと思わせてしまっていたのではないか、ということです。介護施設では、良く「介護と看護の関係が良くない」という悩みが聞かれますが、こんなことも関係しているのではないかと思います。
また、「麻痺・拘縮のある方の難しい移乗介助」みたいな介護職の悩みに対して、迷いに迷ってなるべく簡潔に「この方ならこうかな?」って介護職にアドバイスをしたら、それが唯一解みたいに解釈されて、他のご利用者の移乗介助でもそのやり方が使われたりして、しかもそれが「OTから教わったから正しい」というような解釈をされてしまったら、「自分が学んできた専門性がここでは全く発揮できない!」という気持ちになってしまうよなあ、と思います。
個人的な意見ですが、多くの介護職は、他の専門職がどのような事を学んで今の仕事をしているのか、ご利用者にどのような視点でアセスメントしているのか、あまり理解できていないと思います。理解できていないからこそ、簡単に正解を知ろうとしたり、一度覚えた介助の方法を中々修正できなかったり、自分の介護に自信が持てなかったりということが起こるのだと思います。
そうだとしたら、介護職はご利用者対応について困ったとき、他職種にアドバイスを求めるだけでなく、少しずつでも他職種の専門領域について学ぶ必要があるし、相手の発言の背景にはその人の専門的な知見があることを想像する必要があるし、相手の発言の表面的な部分だけを聞くのではなく、発言の根拠や考え方までしっかりと聞いて理解しよう、分からなければ質問しよう、という姿勢が大事だと思います。