研修担当者のブログ

2022.05.10

OJTとOFF-JT 人間関係とコミュニケーション 離職と定着

新人介護職員に伝えるべき3つのこと

前回に続き、新人職員さんの育成について書きます。
今年度入職された新人職員さんは、入職時の研修を終えて、そろそろ介護現場でのOJT(現場で業務を覚える)がはじまるころだと思います。 
新人さんも、指導を担当する先輩職員さんも、本当に大変な時期です。
看護学の研究で「新人が辞めたくなる時期は2回ある」という論文があります。
1回目は「仕事が大変だ!自分には無理!」と感じて自信をなくす1か月目。
2回目は、独り立ちでの勤務(特に夜勤)に自信を持てない半年目以降、なんだそうです。
介護職も似たような状況があるなと感じました。この時期に組織的なフォローがあると、新人職員さんも安心できるだろうな、と思いました。

さて、今日のテーマ「新人介護職員に伝えるべき3つのこと」について、私見を書いてみたいと思います。

1.介護職が知っておくべき「仕事の原理・原則」を伝える
 ひとつめです。まずは介護の仕事をはじめるにあたって理解しておくべき原理・原則を繰り返し伝える必要があると思います。指導を担当される皆さんは、どのような事を伝えているでしょうか。原理・原則はチームで共通認識されていなければなりませんが、現実はどうでしょうか。
 教科書を見ると、はじめに出てきてその後も繰り返し出てくるのは、「尊厳」や「自立支援」といったキーワードです。一方で、すごく大事なのに教科書ではちょっと後回しになっていると感じられるのが「安全」です。OJTを始めるにあたって、ぜひ安全の大切さを新人職員さんにお伝えしてほしいと思います。介護の色々な場面を通して、原理原則をどのように実践していくのかを伝えてください。

2.介護の仕事の厳しい面や、難しい部分をはじめに伝える(RJP)
 ふたつめ。新人職員さんの早期離職を防ぐためにRJP(現実的職務予告)が有効である、という考え方が、広く一般的に知られるようになりました。理想と現実のギャップについて、早い段階で新人職員さんに伝えておくことが大事、という考え方です。介護の仕事でいえば、「利用者さんがいつも優しいわけではない」「場合によってはハラスメントのようなことが起こることがある」等の情報を伝え、その理由や対応方法について話しておくことです。これを行うことで、新人職員さんに心構えをしてもらうことができます。実施に名経っては「だれが」「どの程度」「どのように説明するか」決めておく必要があります。

3.悩みや不安を抱え込まずに話してほしい、と伝える
 最後は、上記2点を新人職員さんに伝えたうえで、新人さんが現場で感じたことや経験したことを「率直に話してもいいんだよ」と伝えておくことです。こういう時のために指導担当者がいます。なるべく新人職員さんと信頼関係をつくりやすい人が指導担当者になってもらうのが良いと思います。
そして、新人さんの思いを受け止めて、それを組織の成長に役立てていただきたいと思います。新人職員さんの思いを関係職員(チームメンバー)にも伝えて、介護現場をちょっとでも改善できたら最高です。ここはリーダーさん、そして施設長さんの頑張りどころでもあると思います。

 色々な思いをもって介護の仕事を選んでくれた新人職員さんを、是非、全力で応援してあげてください。