研修担当者のブログ

2023.04.18

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新潟県介護人材確保対策会議議事録を勝手に解説

[新潟県介護人材確保対策会議録を読んでみて]
毎年秋に行われている「新潟県介護人材確保対策会議」の議事録が今年も公開されています。読んで、勝手に感想を書いてみたいと思います。この会議は、毎年11月頃に定例的に開催されており、新潟県内の有識者の方々が集まって県内の介護人材の確保や対策について議論し、県が行っている事業の評価と次年度の取り組みについて検討する場となっています。

[議事録を読んでわかること]
・新潟県の介護職員の確保と定着に関する現状がわかります。
・厚生労働省や新潟県がどんな施策を行っているかがわかります。
・どのような機関が新潟県介護人材確保対策に関わっているのかわかります。

[新潟県の介護人材の現状]
新潟県の介護職は常勤換算で34,661人(R2年度)この5年程は、毎年200~500人ずつ増えており、減った年はないそうです。そして、このうち249名(7.6%)が外国人だそうで、思っていたよりも順調に増えている、と思いました。介護職の不足は、約6割の事業所が「感じている」となっていますが、このうち「人材が大いに不足している」という意見は全体の僅か5%でした。個人的にはもっと多いと思っていたのでここは意外でした。

[実施されている施策]
介護人材の参入促進及び定着促進のために、令和4年度は25の施策が実施されていました。その内訳は参入促進(6)・定着促進(12)・資質向上(1)・環境整備(4)となっており、数的には定着促進事業が最も多くなっています。なお、令和5年度は「介護助手確保支援事業」以外すべての事業が継続予定となっています。
これらの事業に関して、委員の方々から色々な意見が出ていました。参入と定着の促進については、円安や気候環境(大雪など)が要因で離職する外国人介護士が出始めているという話がありました。介護助手の育成については、雇用する側とされる側のマッチングがうまく行っていないとのことでした。労働環境整備に関しては、週休三日制等が話題となっていました。

[感想]
介護現場は人材不足とコロナ禍でこの3年本当に大変な状況が続いていました。クラスター等の報道に一喜一憂し、現在でも旅行や外食を我慢しながら働いているような状況です。そのような中、職員の疲弊はかなり深刻だと感じています。そのような介護職の現状と、疲弊している職員への具体的な支援の必要性について検討が必要ではないかと思いました。
この会議の最後の方で介護職に必要な研修についての意見が出ていました。ひとつは「福祉現場を働きがいのあるものにするために、中堅職員のモチベーションアップにつながる研修」という意見で、既存の研修だけでは何か足りていないということのようでした。
ピーエムシーでは、介護職の人材育成において「人材開発」と「組織開発」の両方が必要だという話をよくしています。「人材開発」は職員個人の知識や技術を高めることで、「組織開発」はチームビルディングや1on1などの手法を用いて組織の中の人間関係を変えていくことです。
現在、介護職員のために行われている研修の大部分は「人材開発」つまり専門性を高めることを目標として行われていて、組織開発に関する研修の必要性や根拠についてまだまだ理解が足りていないように感じます。
介護施設で働いている職員さんは、介護の仕事だけを5年10年続けている方が非常に多いと感じています。小規模な法人であれば異動昇進の機会も少なく、中堅職員の成長のきっかけとなるような出来事がなかなか起こりません。介護職の大部分を占める中堅職員の方に、ここまでの働き方を振り返り、介護職の置かれた現状を俯瞰し、自分の所属する組織の中でどのような役割を持って働いていけばいいのか考えるきっかけが必要ではないかと思います。
もう一点、中堅職員が明るく活躍できる職場づくりのために、経営層や管理者向けの研修が大切だという意見がありました。人材不足の中で施設長も送迎に出たり現場の手伝いをしたりと、本当に忙しくてなかなか部下の様子を見たり施設長として必要な学びの時間を持つことが大変難しかったと思います。しかし、良い職場にして行くためには施設長の果たすべき役割は非常に重要です。
先日、施設長の皆様を対象とした研修を行いましたが、ラインケアや1on1ミーティング、アサーティブコミュニケーションといった考え方を初めて知った、という方がとても多かったです。
施設長の大事な仕事は、部下の成長支援だと思います。そのための知識を学び、実践してもらうことがとても大事なことだと思いますが、なかなかそれができていない現実があります。
まずはラインケアの重要性を改めて認識していただき、少しずつでもラインケアのできる体制を作っていくことが求められていると思います。

☆関連サイト
新潟県介護人材確保対策会議について
厚労省 介護人材確保地域戦略会議