研修担当者のブログ

2023.06.20

リーダーシップとマネジメント 人材育成プログラムや研修カリキュラムの考え方 組織開発

1on1をやってみよう!

これまで何度か書いてきたように、組織開発の理論を介護現場でどのように活かせるか?ということを考えながら、様々な現場で研修や人材育成プログラムを実践しています。

今回は「個人に対する働きかけ」の手法である「1on1ミーティング」について、ピーエムシーではどのような目的・内容・手順で取り組んでいるのかを、簡単にまとめてみたいと思います。
「1on1ミーティング(以下1on1とします)」とは、職場で上司と部下が1対1で行う面談のことです。人事考課面談などとは違い、1on1は部下の成長のために行う面談です。現場での実践の結果について2023年1月11日のブログでも書いていますので、良ければそちらもご覧ください。

[1on1を実践する目的]
1on1の目的は、事業所の状況や対象者によって言葉を変えてお伝えしていますが、今年度あらたに取り組みを開始する事業所では「ラインケア」と「フィードバック」を目的としてやりましょう、と説明をしています。
介護現場は、人材不足で職員間のコミュニケーションの機会が本当に減っています。その中で、誰かに相談できず不安を抱え込んでしまう人が必ずいます。1on1ミーティングをやることで、このような人をキャッチしたいというのが一つ目の目的です。
もうひとつは、上司が部下にフィードバックを与える機会を作ることです。現在の介護現場は、若いリーダーと年上のベテラン職員という組み合わせが当たり前になっていて、リーダーが部下を指導することがとても困難になっています。部下の気になる言動や利用者対応の場面があっても、その場で一言声をかけるのが難しい状況があります。そのような場合、1on1の機会をつくって日頃の気がかりをフィードバックするというのも1on1の目的です。

[1on1を説明する・進める]
1on1を介護現場ではじめて取り組んでもらう場合、「キックオフ」が必要です。キックオフとは、職場で新しい取り組みを始める時に、その目的や重要性が組織のメンバー全員にしっかりと伝わるように組織のトップがしっかりと説明をすることです。つまり、発信をすることです。
主任・リーダー職員に説明するときは、取り組みの目的と具体的方法を伝えます。忙しい中での1on1なので、とにかく「個別に声をかけて悩みを抱えている人を把握すること」をお願いしています。
深刻な悩みを抱えていない職員への1on1は、時間をかけなくてもいいと伝えています。
また、主任・リーダーから1on1をしてもらう現場の職員さんたちへの説明は、もちろん「キックオフ」等で説明することも必要ですが、わかりやすい資料を作って回覧や掲示するのも大事なことです。研修の仕事をしていて思いますが、とにかく介護現場には情報が正しく伝わりにくいという問題があると思っています。
これを解決するには「トップからのキックオフ」それから「掲示物を工夫してみんなに見てもらうこと」「メッセージがしっかり伝わっているのか時々個別に声をかけて聞いてみること」などが必要だと思います。

[気をつけたいところ]
・1対1の面談になるので、ハラスメント等のトラブルが起こらないよう、面談の組み合わせを変更することも必要かと思います。
・業務や同僚の仕事ぶりに対する不平不満が出てきたり、「せっかく話したのに何も変わらないじゃない!」などと1on1が逆効果になってしまうこともあると思います。出てきた話はまずその場では「受け止める」ことは大事ですが、その場で判断できない事、決められないことについては即答せずに「上司と相談してみます」「ちょっと考えさせてもらってもいい?」など返答のバリエーションを準備しておくことが必要です。
・1on1が一区切りついたら、その結果についてまとめて、チーム全体へのフィードバックを行います。個別にフィードバックが必要な方については、上司やリーダー間で相談のうえでフィードバックを行いましょう。悩み不安を抱えている方が把握できた場合は、本人にも確認の上で上司同僚と情報を共有し、できる対応策を検討してください。

[終わりに]
面談をしたことがない、というリーダーさんもたくさんいると思います。ある法人では1on1をはじめるにあたって、しっかりと文献を読み込んで1on1のマニュアルを作成し、事前にシミュレーションまで行ったというところもありました。実際に1on1に取り組んだ皆さんは、本当に達成感や手ごたえを感じてくださっています。今後も効果的な進め方を検討し、改善し、引き続き1on1実践に取り組んでいきたいと思います。今回もブログを読んで頂きありがとうございました。